ご利用のきっかけは病院を退院した後もみっちりとリハビリができる施設がないか探していたところ、ホームページにて当店を知り、まず体験を受けてみようとご来店されました。

開始当初より「左手を使って釣りの再開をしたい」「日常生活で左手を使いたい」と、指先の動きについてのご希望が強くありました。お身体の状態としては、すべての指を一緒に握ることはできましたが、握り込んだ手の力が抜けにくく、指を伸ばすこととつまみ動作など細かい動作の実施が難しい状態でした。


「ひとりで釣りに行ってはみたものの、細い釣り針に小さな餌をつけることがスムーズにできず、釣りを楽しむことができなかった」というお話をうかがいましたのでオキアミを釣り針につけることが出来るようになるべく、専門家それぞれの視点からアプローチを試みました。


鍼灸では、パルス鍼という、鍼を刺した筋肉に電気を流して、筋肉のこわばりを和らげる手技を用い、握りこんでしまう手の硬さの軽減することを中心に施術を行いました。


理学療法士によるトレーニングでは指を伸ばす動きを補助する装具（スパイダースプリント）を使用しながら、スポンジなど物品をつまむ練習を行いました。はじめは、スポンジを潰してしまうほど握りこんでいましたが、少しずつ指先のコントロールができるようになりました。

今では、スポンジの大きさを変えたり、スポンジを高く積み上げるなど指先の動きと連動した、肩や肘・手首の動きを必要とするより高度なコントロールが求められる動作も実施できるまでに改善されています。高強度トレーニングではバーベル上げ等、肩や肘まわりの筋力の強化に努めました。

リハビリを重ねスタッフ同行の元、釣りへ再挑戦しました。当日は冷え込んだ上に風が強く、本人様も「まだ難しいでしょうね」と弱気に話されていましたが、いざ餌と針を手に持つと、数秒も立たない内に餌をつけ終えられ「意外とできましたね！」と大変喜ばれました。